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平和にのんびり英語教育

香川県の教育フリーランスjackerのブログです。

発達障がいに対する3つのアプローチ

近年、発達障がいと見なされる人が増えてきています。私も最近、発達障がいについて自分なりに理解を深めてきました。発達障がいの深い原因追及については今回は避けて、どのようにアプローチすれば良いかについて考えてみました。

 

私が発達障がいに対するアプローチとして重要だと思ったアプローチは以下の3つのアプローチです。

 

(1)心理学的アプローチ

(2)社会学的アプローチ

(3)人類学的アプローチ

 

(1)心理学的アプローチ

発達障がいの主な原因は脳内の神経の発達の遅れです。その個人という心理システムに対して心理学的なアプローチが必要ではないかというのが私の考えです。ここで私は凡庸な表現になりますが、人間の「心」をmindとheartに分けたいと思います。mindとは認知特性のことであり、思考に関する「癖」のことです。このmindに異変があるのが発達障がいの「特徴」だと思われます。その思考の癖から特殊な行動という明示的な表現を行ってしまいます。そういった思考の癖に自分で「気づかせる」ことが大切かと思われます。従来の心理的カウンセリングもこのアプローチに該当すると考えられます。また、発達障がい当事者ができていないことを必要以上に叱責せず、できなかったことをできた段階で褒める必要があります。そしてheartを温めてやる必要があると思います。頻繁に発達障がいの当事者である人というのは傷つきやすく、否定されやすく、成功体験も少ないため、自己肯定感が低いものです。その自己肯定感を高めてやり、「情」のこもったアプローチをとっていくのが先決かと思われます。

 

(2)社会学的アプローチ

しかし、個人内心理のみを見ても、事態はよくならないと思われます。発達障がいの主要な原因は脳内の構造でしょうが、そこに「愛着」をはじめとした社会的要因が重なっている(あるいは増強させる要因である)ことも指摘されています。社会とは乱暴に言うならば、「関係」から成り立つシステムのことです。その関係性を豊かにしていくことが発達障がいで起こる「生きづらさ」を解消するための良質なアプローチだと思います。具体的には何でも本音で話せる「安全基地」の設定、発達障がい当事者に対して、他者からの働きかけの様式を変更すること、単純肯定もせず、しかしながら単純否定もしないということです(「否定」と「批判」は似て非なる概念です)。家族や友人をはじめとした「社会」がコミュニケーション方式を変容することが、発達障がいで苦しむ当事者の成長のきっかけとなるかもしれません。

 

(3)人類学的アプローチ

これらを踏まえ、人類学的アプローチが必要ではないかというのが私の愚見です。言うならば、「当事者研究」によって、発達障がい当事者がどのような場面で生きづらさを感じているのか、それに対して当事者はどのように感じているのか、成功体験はあるのか、それに導くためにはどのような手段が取れるのか……などなど当事者の「語り」を分析し、「物語」を創ることが重要ではないかと感じています。このとき、共感的な他者が発達障がい当事者の語りを真剣に聞き、未来をどのように変えていくかということが大切かと思われます。過去の経験を現在に結び付け、過去を否定的に見ないで、肯定的にとらえさせる「材料」として考えていく必要があります。それにより、発達障がい当事者やその関係者の未来は変わっていく可能性が高まります。

 

1人で抱える問題も、2人で抱えれば楽になります。2人では重いものも、3人4人……と増えていけば、問題は「問題」でなくなるかもしれません。「発達障がい」ということばに惑わされず、1つの「個性」としてみなす態度が社会に広がればと思います。発達障がい当事者の「心理」に巻き込まれた人間たちが新しい「社会」を築き、「人類」として共存していくことも十分に可能です。決して、発達障がいに対して悲観的にならないようにしなくてはいけないと考えられます。困ったときほど、冷静に考える癖をつけなくてはいけないということを自戒のことばとして残しておきます。

 

参考文献:

岡田尊司 (2009) 『アスペルガー症候群幻冬舎新書

岡田尊司 (2012) 『発達障害と呼ばないで』幻冬舎新書

杉山登志郎 (2011) 『発達障害のいま』講談社現代新書

トリイ・ヘイデン 著、入江真佐子 訳 (1997) 『よその子』早川書房

山崎晃資 (2005) 『発達障害と子どもたち』講談社α新書