風と雪

香川県のフリーランスjackerのブログです。

善く生きること――ソクラテスから学べること

最近、これまで勉強していなかったソクラテスについて勉強を始めました。

 

ソクラテスは哲学の祖先的存在とも言われるように、「古い」のですが、彼が言っていたことは現代の世の中にもつながることがあることに気づきました。

 

私が注目している数学者の方も「ソクラテスに還れ」という趣旨のツイートをしていたところですので、ますます興味が湧きました。

 

今回、哲学の入門書を参考に、ソクラテスの思想を自分なりに味わってみました。想像と言ってもいいかもしれません。現代の世の中の視点からソクラテスを見つめるために、比較的新しい入門書を選びました。プラトンによる『ソクラテスの弁明』も読んだのですが、彼の時代の価値観を想像することはまず不可能なので、今回参考文献には入れていません。

 

私がソクラテスについて特に感銘を受けた点は(1)無知の知、(2)知への愛です。

 

(1)無知の知

ソクラテスについて一番有名なことばかもしれません。「自分は何も知らないことを知っているだけ、知っていると思いこんでいる輩よりは優れている」という趣旨のことばです。

 

これは一重に「謙虚に生きよ」ということでしょう。

 

しかしながら、ソクラテスソフィストたちを中心とした賢者へ質問を振りかける際、何の思想にも依拠しなかったのでしょうか?

 

もし依拠していたのであれば、ソクラテスはその「思想については『知っている』」あるいはその「思想については『信じている』」ことになります。

 

ソクラテスは一説によれば、自然の全ての現象を「否定」する立場にあったようです。

 

世の中は「肯定」することが中心によって出来上がっています。しかしながら、ソクラテスはその対概念である「否定」によって言動を行っていたようです。

 

「否定」についてはヘーゲルにもつながると思われるのですが、ヘーゲルについては私はソクラテス以上に無知なので、ここでは何も言いません(言えません)。

 

そのようなあらゆるバックボーンとなる「権力」を「否定」することによって、ソクラテス流の「善く生きる」ことにつながるのではないか、というのが私の愚見です。

 

世の中には自身の権力を増強させようとする者が多いのは周知の事実です。また、権力者に対して、大した思考もいれず批判することが自己目的化している者も多いと思います。

 

しかしながら、自身が本当に「無知」だと自覚しているのであれば、ソクラテス流の「質問法」しかできないのでははないでしょうか? 他者を「批判」することなどできないのではないでしょうか(「否定」と「批判」は似て非なる概念です)?

 

上記の内容自体、権力に媚びる人間への「批判」になっているため、私は彼/彼女らに「どういう気持ちですか?」と尋ねたい……という記録でとめておきます。

 

あらゆる権力を否定し、自身が何の権力にも依拠しない(できない)ということを実感することが、真の意味での「無知の知」すなわち「謙虚に生きる」ことなのかもしれません。それが、ソクラテス流の「善く生きる」ためのヒントになるのかもしれません。

 

(2)知への愛

(1)ともつながりますが、何かを知るためには「信じる」ことが必要になってきます(これは私にとって耳の痛い話になります)。

 

では「信じる」というのはどういうことなのでしょうか?

 

「信じる」の反対概念で真っ先に思い浮かぶのが「疑う」ということです。「疑う」とは、何かに対して矛盾を暴く行為でもあります。

 

では、信じるとは「矛盾」した状態を受け入れることではないのか、というのが私の愚見です。

 

人間は矛盾しながら生き続けます。それに対してやたらに「批判」を続けるのではなく、それを受け入れることが「信じる」ことではないでしょうか?

 

知識というのは、矛盾と隣り合わせです。たとえ話を変えると、まるっきり主張が変わるように、知識というのは案外もろいものだと思います。

 

知識を手に入れるには「批判的思考」が必要だという人もいますが、「信じる」ことによって、手に入る知もあるのではないでしょうか?

 

それを踏まえて、手に入れた知こそが本当の「知識」になるのではないか、と考えています。

 

上記の愚見をまとめると……

(1)あらゆる権力を否定し、自身が何も知らないということを実感し、「謙虚」になること。

(2)矛盾を受け入れ、「信じる」ことによって知を手に入れること。

の2つが「善く生きる」ためのヒントになるのではないか、というのが私の愚見です。

 

ソクラテス自身が権威とはかけ離れながらも、知と向き合う生き方を行った「生きる証拠」です。現代の世の中で、ソクラテスの生き方をそっくりそのまま再現することは不可能に近いと思われますが、彼から学べることは多いと思います。

 

参考文献:

木田元 編 (2003) 『哲学者偶像101』新書館

田中正人 (2015) 『哲学用語図鑑』プレジデント社

富増章成 (2016) 『哲学者図鑑』かんき出版

貫成人 (2001) 『図解雑学 哲学』ナツメ社