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風と雪

和泉敏之のブログ

意味と物語に関する断片的思考(記号論を手がかりに)

以前、「意味」概念についてルーマンの理論をベースに駄文を書きましたが、まだまだ勉強不足だということを痛感しています。彼の理論は私の知性を遥かに超えており、何度も読み込まないと自身の内面に落とし込めないということが分かりました。

そこで今回、ルーマンよりは原初的な「意味」概念を取り扱っている記号論の基礎を学び、ルーマン理解につなげたいと思いました。

今回テキストとして使用したのは、ウンベルト・エーコによる『記号論入門』とロラン・バルトによる『記号学の冒険』です。

人間が生きる過程で「物語」は繰り返されます。人生という大きな物語について思慮を深めるためにも、「意味」について深く考えようと思った次第であります。


1. 記号
2. 言語
3. 物語
4. まとめ


1. 記号

意味が生成される中で、「記号」は重要な役割を果たします。では、記号とは一体何なのでしょうか? よく知られる「シニフィアン」、「シニフィエ」について私なりに定義してみました。

シニフィアン……物理的世界に存在する表現
シニフィエ……シニフィアンが解釈的に表現されたもの

現存する物体や事象そのものは記号ではないのかもしれませんが、そこに「解釈」という知的作業を取り入れることによって、それらは「記号」として機能するというわけです。

シニフィエが暗示的なつながりを持つと、「シンボル」になるということですが、私の偏見で、記号論は人間の社会的な関係性を考慮していないと思っていましたが、それは誤解だということがわかりました。

また、真の同義語なるものは存在しないということです。外国語教育に応用させると、例えばpulseという語をもってしても、単なる「脈動」などという変換では、その「意味」を捉えきれないという帰結になります。やはり、語の「使用」にまで思慮を働かせないと外国語は習得できないということです(私の早合点かもしれませんが、その文脈の中で、語用論に対する理解は不可欠だと思います。また、ウィトゲンシュタインもきちんと理解した方が良いのかもしれません)。

さて、話を戻しますと、「記号」はいかにして生成されるかということです。ここでは人間の「認知」が深く関わってきます。認知とは、人間の行為によって向けられた対象や出来事が、特定の内容に関連性をもたらせるものと定義しておきます。

人間の認知の働きにより、記号は生成され、機能していくことになるでしょう。これだけ取り出すと、個人内認知を想定してしまいますが、関係のシステムから考察されておりますので、人間の個体を超えた「認知」の働きにより、記号が生成されていくものと思われます。

 

2. 言語

その記号生成の過程で重要なのが「言語」です。私達が頭の中でなにかを考えるとき、「ことばにならないことば」によって過程が進むこともあるでしょう。記号論の多くの論考では、人間の思考は記号によって成り立つとされており、言語とは、その人間そのものだとされています。

分かりにくいのですが、記号によって人間のあたまやこころが構成されていき、言語により、人間自体が成立するということになるでしょうか?

 

※記号←→思考←→言語

 

またまた脱線するのですが、最新の量子力学では、従来のデジタル的思考「0か1か」を超えて、曖昧な数値により動いていくコンピュータが考案されています。言語とは曖昧な事象の象徴とも言えるものですので、機械が人間に近づくためにはやはり、人間を人間として成立させている「言語」の導入が必要になるのでしょう。

ここまで、記号は認知をはじめとした人間の知的活動により生成され、言語によって総括されるということについて言及してきました。では、話題を「意味」に進歩させていきます。

意味とは、ある対象に対して、記号(ならびに言語)により、定位置化させることを目的としていると言われています。

これは一概に「コノテーション」と呼ばれますが、人間の主観と神話などから生み出される「媒介物」のようです。意味の生成は何も「コミュニケーション」に限定されることではないというのが記号論の見解です。

その意味が威力を発揮するのが「物語」です。最後にその点について検討します。

 

3. 物語

さて、記号・言語・意味について断片的にまとめてきましたが、人間は記号並びに言語によって「行為」を発生させます。その「行為」がある程度の構造を持ち、<結末>まで向かう流れの中で、まとまりを持って確認されると、「物語」の誕生になります。

ですが、行為のまとまりはそれ自体が不確実なものです。そこを「定位置化」させるのが意味だということになります。

ですので、物語の創造や解釈には「意味」が不可欠になってきます。単なる行為の連鎖では物語「的」にはならず、そこに「意味」という媒介物を導入することによって、行為は物語になっていくということです。

 

※記号←→思考←→言語 ←→行為  
 意味によって定位置化/ (物語)     

 

4. まとめ

意味と物語について断片的にまとめてきました。人間の思考は記号を紐付け、人間は言語になり、そこから行為をうみだしていきます。これらは時系列的な概念ではなく、連続した事象です。その記号や言語によって対象を定位置化させるのが意味であり、行為のまとまりを物語にさせるのが意味です。私がかじったルーマンの論考とも少し重なってきましたので、これからも勉強をかさねねたいと思います。

 

参考文献
ロラン・バルト著、花輪光訳(1988)『記号学の冒険』みすず書房
ウンベルト・エーコ著、谷口伊兵衛訳(1997)『記号論入門』形立書房