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風と雪

和泉敏之のブログ

認知と言語の意義

最近、認知言語学をベースにした英文法書を読んでいるのですが、それを自分に落とし込むには人間の「認知」について深く思慮を深めることが必須だと思うに至りました。

 

そこで今回は昔の読書ノートから「認知意味論」という分野について学び直しを行いたいと思います。ひとえに「意味論」と言っても、様々な派生分野に分かれていると思いますが、自分が大学で唯一真面目に勉強した関連性理論でも人間の認知は大きく取り上げられていますので、ここで自分の思考内のネットワークを繋げるためにも駄文を残します。

 

ここで取り上げているのはあくまで人間の「個人内認知」を軸にしているのですが、人間の認知強いては脳も社会や環境と繋がっているという見解を私は支持していることを先に弁明しておきます。

 

 

● 基本動詞

                           

主に取り上げる言語は英語ですが、英語でも名詞と動詞の区別は重要です。認知意味論の世界では、動詞と名詞は以下のように区別されているようです。

 

・動詞……何かを指示すると共に名詞句を結びつける機能を持つ

・名詞……何かを指示する機能を持つ

 

例えば、 I love her. という例文を考えると、動詞Loveは話し手を指示するIとは話し手が意図する女性であるherを結びつけていることになります。

 

この「指示」概念については、関連性理論における「アドホック概念形成」などに繋がると思われます。

 

● コア理論

 

その指示する語についてですが、「コア」という意味総体が存在するとされます。これは以下のように定義されます。

 

・語の意味の範囲の全体における用例の最大公約数

 

我々人間は情報をそのまま脳内に記憶するだけではなく、分類化と抽象化を通じて行うとされています。

 

三角錐を喩えにしてみましょう。頂点の点がコアであり、そのまま底面に下がっていく全体が語の「意義」だと思われます。頂点は非常に抽象的ですが、底面に下がるにつれて、語の意義は分類化され、具体的になっていきます(個人的に<抽象/具体の二分法はあまり効果的な記述法ではないとは思っていますが……)。

 

● プロトタイプ理論

 

語の意義ですが、心理的に典型的なそれは「プロトタイプ」と呼ばれます。例えば、英語のfruitですが、apple, bananaなどの典型的な例はプロトタイプと呼ばれます。

 

ここで強引に関連性理論に繋げると、外からの刺激である語が持つ意味の中で、自分の想定の中でアクセスしやすいもの、すなわち関連性が高いものがプロトタイプの一種と思われます。

 

ですので、意義というのはそもそも曖昧なもので、人間によってそれは変化するというのは認知意味論の世界でも言われていることなのでしょう。

 

● ネットワーク理論

 

語彙というのは、その意味が人間の脳内にそのままストックされているのではなく、極めてフローなものです。そして、それは網目のようにネットワークを形成していると思われます。ここで私は蠢くリゾーム状のネットワークをイメージしたのですが、間違いでしょうか?

 

神経科学のことについては、私は無知ですが、あるニューロンが着火すると、そこから関係のあるそれが次々に連鎖的に着火していくと思っています。ですが、意義というのは人間の脳内で完結するものではなく、言語それ自体が大きく力を持つものと考えられます。

 

● まとめ

 

ここまで認知意味論の基本的な世界観を自分なりにまとめてきました。人間が言語を生み出したというのが一般的な常識で、私もそれについては賛同します。しかし、言語はそれ自体が独特の進化や進歩を行う有機体であり、人間の手の負えないことも多いでしょう。ウィトゲンシュタインも「人間の思考は言語によって装われる」という趣旨のことを語っており、人間の思考と言語は関わり合いながら、反発し合う関係にあるのかもしれません。そこに「認知」が関わってくるのでしょう。私なりの蛇足が大きく入りましたが、これからも言語について勉強を重ねたくい思います。

 

参考文献

田中茂範(1990)『認知意味論』三友社出版