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風と雪

和泉敏之のブログ

ダブル・バインドの基本

ダブル・バインドの基本

 

私は文化について探求していますが、それに派生してコミュニケーションをもっと深く考える必要があるとひしひしと感じてきました。今回、20世紀の知の遺産であるグレゴリー・ベイトソンについての入門書を読み、彼が発明した理論で一番有名であろう「ダブル・バインド」の基本をまとめてみました。

 

自分で思いつく例を2つ挙げて、帰納的に理解することを目論みました。この例自体がダブル・バインドに噛み合っていない場合もあるため、ご興味のある方はどうか『やさしいベイトソン』をご覧ください。

 

本書で「ダブル・バインド」は以下のように定義されています。

 

「(1)ある抜き差しならない関係において、(2)第一次の禁止命令、(3)それと矛盾するメタレベルの禁止命令の併存が、(4)そのコミュニケーション・パターンとして繰り返し現れるとき。」

 

本書では、母子の例が挙げられていますが、私は教師と生徒の例と恋愛の例で考えたいと思います。

 

まず、教師が「〜の宿題を明日までにやってきなさい」と生徒に命じたとしましょう。その量も内容も生徒に明日までに終わらすには困難なものでした。そこで生徒は期限の延長を申し出ますが、「そんなこと言ったら、宿題をもっと増やすぞ」と教師に言われます。

 

これは(1)宿題を明日にまで終わらせられないという命令と(2)宿題を終わせられないことを嘆願できない、という2種類の禁止命令に襲われ、生徒は二重拘束に陥った例として考えられないでしょうか?

 

 

また、大好きだった女性の恋人に「もうあなたのことは愛していないの。もう私のことは一生考えないで」と言われた男性のことを考えてみましょう。

 

これは(1)女性のことをもう考えてはいけないという命令と(2)しかし、そのいうことを聞けば、女性の言うことを聞いたことになり、女性のことを考えた結果になってしまう、という2種類の禁止命令に襲われ、男性が二重拘束に陥った例として考えられないでしょうか?

 

ここで気になるのはダブル・バインドの外し方ですが、これにはかなりの知性が必要だと考えさせられます。単純に「2つの道が両方とも険しいなら、第3の道を進め」とは言えない気がしてきました。

 

ベイトソンは「セルフ・コントロールの解除」を語っていたということもあり、自分の無力感を痛感することがまずは大切ではないでしょうか?

 

これらの理論は「ナラティブ・アプローチ」という理論の機能を強化するメタ理論としても考えられており、ベイトソンについては『Steps to an ecology of mind』をよくよく精読して、さらに考えていきたいと思います。

 

参考文献:

野村直樹(2008)『やさしいベイトソンーーコミュニケーション理論を学ぼう!』金剛出版